品名:杜甫詩 欧陽詢書 拓本
品番:TUO-43
サイズ: 87cmx32cm
価格:¥2.980「税込」在3
天宝十一年(752)杜甫四十一歳のときの作。高適、岑参ら数名の詩人が慈恩寺の大雁塔に登ったとき、
各々詩を作って塔からの眺めを歌った。
杜甫もそれに同行して、この詩を作った。
高標跨蒼穹 高標 蒼穹を跨ぎ
烈風無時休 烈風 休む時無し
自非曠士懐 曠士の懐に非ざる自(よ)りは
登茲翻百憂 茲に登らば百憂を翻へさん
方知象教力 方に知る 象教の力
足可追冥搜 冥搜を追ふ可きに足るを
仰穿龍蛇窟 仰ぎて穿つ 龍蛇の窟
始出枝枝幽 始めて出づ 枝枝の幽
七星在北戸 七星 北戸に在り
河漢聲西流 河漢 聲 西に流る
羲和鞭白日 羲和 白日に鞭ち
少昊行清秋 少昊 清秋を行(めぐ)る
秦山忽破碎 秦山 忽ち破碎し
涇渭不可求 涇渭 求む可からず
俯視但一气 俯視すれば但一气
焉能辨皇州 焉んぞ能く皇州を辨ぜん
回首叫虞舜 首を回らして虞舜を叫び
蒼梧雲正愁 蒼梧 雲 正に愁ふ
惜哉瑤池飲 惜しい哉 瑤池の飲
日晏昆侖邱 日は晏し 昆侖の邱
黄鵠去不息 黄鵠 去って息まず
哀鳴何所投 哀鳴 何の投ずる所ぞ
君看隨陽雁 君看よ 隨陽の雁の
各有稻粱謀 各々稻粱の謀有るを
高標が青空をまたぎ、烈風は吹き止むことがない、壮大な気宇の持ち主でなければ、ここに上れば意気阻喪してしまうだろう
まさに知ることができるのだ、仏教の教えの力の追い求めるべきに足ることを、仰ぎ見ればうねった道には龍蛇の窟が穿たれ、道沿いには交木が連なって幽玄な光景を呈している
北の空には北斗七星が見え、天の川が西に向かって流れている、太陽の御者羲和が白日に鞭打ち、収穫の神少昊はのんびりと歩む
周囲の秦の山々は遠くかすみ、涇水も渭水もぼんやりとして見えぬ、眺めおろせば風景は渾然として広がり、帝都のあるところも分ち難い
首を回らせて虞舜の名を叫べば、蒼梧のあたりには雲が憂えるようにたなびいている、残念なことに、瑤池では皇帝が杯を酌み交わして遊びに耽り、日は昆侖の丘に沈む
黄鵠がはるかかなたに飛び去り、どこに向かうともわからぬ、これに対して隨陽の雁は、日々の食料のことで頭がいっぱいなのだ